怪木蒐集家 FILE No.3 栴檀

木は、ときどき人を呼ぶ。

この栴檀もそうだった。

工場に運び込まれたときは、
土をまとい、荒々しい樹皮に覆われた一本の丸太。

けれど、その姿の奥に何かを隠している気配があった。

削るたびに現れる瘤。
流れるようにつながる年輪。
複雑にうねる杢目。

そしてオイルを塗った瞬間、
眠っていた景色が一気に目を覚ます。

赤く燃えるような木肌。

地図のようにも、
水脈のようにも見える不思議な模様。

それは何十年、何百年という時間を、
木が静かに抱き続けてきた証だった。

この一本から生まれたのは、
テーブル、ベンチ、ソファ、テレビボード。

けれど本当に形になったのは家具だけではない。

一本の木が生きてきた時間と、
誰にも見られることなく眠っていた景色。

怪木蒐集家。

それは珍しい木を集めることではなく、
木が長い年月をかけて育んだ「まだ見ぬ景色」と出会う記録である。

蒐集家記録
樹種:栴檀(せんだん)
状態:瘤あり・波状杢あり・年輪複雑・赤味強め
第一印象:燃えているようなのに静かだった。長い時間が木の中で熾火となり、今も赤く息づいている一枚。
発見日:2025年1月某日

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この記事を書いた人

SHOPVERO代表の橋本展洋です。
無垢材と一枚板を扱う木の専門店を営む傍ら、「怪木蒐集家」として全国の個性豊かな木々を蒐集・記録しています。木が持つ物語や魅力を、このブログを通してお届けします。

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