おまかせリノベーション。― カルチャーをデザインする。
「橋本、全部おまかせする。」
そう言ってくださったのは、若い頃サラリーマンだった私を可愛がってくれた先輩。
豪快で、人情味があって、どこかアメリカ映画の主人公のような人だった。
今回、この家で暮らすのは娘さんご家族と先輩ご夫婦。
世代は違う。
暮らし方も違う。
だから私は考えた。
“二つの世代に響く空間は、どんな空間だろう。”
私は昔から、70年代から90年代のカルチャーが好きだ。
映画を観れば、家具に目がいく。
洋服を見れば、その時代の背景を調べたくなる。
なぜ、このデザインが生まれたのか。
なぜ、この色だったのか。
なぜ、この素材だったのか。
そんなことばかり考えている。
だから今回も、流行を追うことはしなかった。
目指したのは、80年代のアメリカ。
当時の映画に出てくるような空気感だった。

壁と天井にはマホガニーの突板を貼り、
深みのある木の色を空間全体に広げる。
レザーソファ。
真鍮色の照明。
南洋材の存在感。
それぞれを主張させるのではなく、一つの時代の空気としてまとめていく。

70代には懐かしい。
40代には映画で憧れた世界。
そして若い家族には、新鮮な空間として映る。
私は、この三世代が同じ空間で心地よく過ごせる家をつくりたかった。

古い家を新しくするのではない。
カルチャーを取り入れながら、これから先も色褪せない空間へと生まれ変わらせる。
私は、家具をデザインしたいわけではない。
建物をデザインしたいわけでもない。
その人の人生に寄り添う、
カルチャーのある暮らしをデザインしたい。
だから私は、素材だけではなく、
映画を観る。
音楽を聴く。
洋服の歴史を調べる。
そのすべてが、空間づくりにつながっている。

空間は、図面から生まれるものではない。
人と文化との出会いから、物語は始まる。
空間デザイン 橋本展洋
施工 ATTIC(アティック)代表 小野光太郎
家具インテリア用品 SHOPVERO
監修 SHOPVERO

