オークサイドボードとコーヒーテーブル。
お客様からご依頼いただいたのは、
サイドボードとコーヒーテーブル。
私は、まず図面を描かない。
いつものように製材所へ向かい、
木を探す。
製材所の奥に積まれた材木の中で、
ふと目が止まったのは、
幅約550mmもあるオークの一枚板だった。

しかも、何枚も眠っている。
その木を見た製材所の社長が笑いながら言った。
「橋本くん、本当に凄いもの探すなぁ(笑)」
「こんなの、あったっけ。」
毎日その場所にいる社長でさえ、
存在を忘れていた木。
忘れていたのか。
それとも、
大切にしまっていたのか。
その答えは、社長しか知らない。
私は、その木を見た瞬間、
このお客様の家具になると思った。
コーヒーテーブルは一枚板で。
サイドボードの天板も一枚板で。
一本の木が持つ流れを切らず、
そのまま暮らしの中へ届けたかった。
家具は、
図面から生まれるものではない。



一本の木との出会いから、
物語は始まる。
一本の木との出会いが、
世界にひとつの家具になる。



物語のあるオーダー家具をつくる人。
怪木蒐集家 橋本展洋

